時事通信 2021年10月10日

  防衛省が、宇宙空間の警戒・監視や人工衛星の修理・補給を担う「宇宙巡回船」の建造を検討していることが分かった。

 関係者が9日、明らかにした。実現時期は未定だが、同省の目指す宇宙状況監視(SSA)能力向上の一環として、宇宙空間を自由に航行する無人船を想定。2022年度予算概算要求に調査・研究費1億円を計上した。

 宇宙空間には、役目を終えた衛星やロケットなどが「スペースデブリ(宇宙ごみ)」として多数存在し、稼働中の衛星に衝突する懸念がある。さらに、中国やロシアは他国の衛星を攻撃・妨害する「キラー衛星」の開発を進めているとされる。
 防衛省は、巡回船による警戒・監視を通じ、こうした被害を防止したい考え。軌道上を周回する衛星と違い、自由に航行できるため、より広い範囲の監視が可能となる。
 もう一つの役割は、衛星の修理・補給だ。故障や燃料切れなどに対処可能になれば、耐用年数の伸長につながる。運用に関するコスト減も期待できる。[su_spoiler title=” > 防衛省、人工衛星の延命技術研究に着手…軌道上でドッキングして保守管理も <”]
読売新聞 2021/03/29 15:00
 防衛省は、打ち上げられた人工衛星の寿命を延ばす技術の研究に着手した。専用の衛星で燃料補給や修理を行うもので、近く開発にかかるコストなどを報告書にまとめる。2026年度までの打ち上げを予定している監視衛星(SSA衛星)で実用化したい考えで、実現すれば、宇宙市場への民間参入にもつながりそうだ。
打ち上げ後の衛星への保守管理は「軌道上サービス」と呼ばれる。燃料補給や修理のほか、役割を終えた衛星を通常軌道から「墓場軌道」という空間に誘導し、廃棄する業務などが想定されている。将来の成長が見込まれる宇宙ビジネスで、市場規模は3000億円を超えるとの試算もある。
今回の研究は民間への委託事業で、今年2月に、宇宙ごみの除去サービスの開発を目指す新興企業「アストロスケール」(東京都)に依頼した。防衛省と同社で連携し、近く作成する報告書で研究結果を示す。  ただ、軌道上サービスには、宇宙空間を高速で周回する衛星に別の衛星がドッキングするなど高度な技術が必要だ。専用の衛星の打ち上げにも多額の費用がかかり、防衛省は費用対効果を含めて導入の可否を検討する。

 人工衛星は姿勢の制御や軌道の修正などで燃料を消費しており、一般的には15年程度で使い果たす。防衛省が打ち上げを計画している監視衛星は、頻繁に軌道を変えるために他の衛星よりも燃料消費量が多く、故障の可能性も大きいという。寿命を延ばすことができれば、コスト削減につながる。防衛省は1基目の監視衛星の運用後に2基目を打ち上げることも検討している。  

◆監視衛星(SSA衛星)
 宇宙状況監視のための人工衛星。人工衛星に衝突する危険がある宇宙ごみや不審な衛星を監視する。米軍は配備済みだが、日本政府はまだ保有していない。[/su_spoiler] ただ、軌道上を高速で周回する衛星への接近には、高度な技術が求められる。防衛省幹部は「実現できるか分からない野心的な取り組みだ」と話す。

 宇宙には地上のような国境がなく、利用に関する国際ルールも曖昧だ。衛星を使えば軍事施設の偵察や弾道ミサイル発射の探知、ミサイルの誘導などが可能となるため、米国や中国、ロシアが開発競争を繰り広げている。

 防衛省・自衛隊も宇宙分野について、サイバーや電磁波に並ぶ新たな戦闘領域と位置付け、体制強化を図っている。20年5月に初の専門部隊として「宇宙作戦隊」を発足。26年度までにSSA衛星の打ち上げも目指している。