朝日新聞 編集委員・吉田伸八 2021年8月30日

 警察庁が来年度の発足をめざす「サイバー局」構想に絡み、同庁は30日、全国の専門職員が電子データを遠隔で解析する新たな基盤を導入する方針を明らかにした。来年度当初予算の概算要求などに盛り込んだ。同庁が直接捜査する部隊の名称は「サイバー隊」となることも分かった。

 サイバー事案の捜査では、犯罪を立証するため、押収したコンピューターやスマートフォンなどの電子的記録を解析する必要がある。削除されたデータの復元を含むこうした作業はデジタルフォレンジック(電子鑑識)と呼ばれる。解析は警察庁と各管区警察局、都道府県警単位に配置された700人以上の警察庁職員が担っている。

 現在は事案ごとにまず都道府県にいる職員が解析し、高度な技術が必要な場合に管区や警察庁に依頼して、端末などを持ち込んでいる。計画では、解析のためのサーバーを設け、全国からデータを入力したり職員が解析作業に参加したりできるプラットフォーム(基盤)を整備。サイバー隊の捜査にも使う。専門人材の有効活用につなげる狙いもあるという。警察庁はこの基盤整備の費用として約9億9千万円計上した。

 来年4月の発足をめざすサイバー局は、情報などを担当するサイバー企画課、捜査を指揮するサイバー捜査課、データ解析を担うサイバー解析課などで構成される。現在の情報通信局はサイバー局と、長官官房に新たに置く技術部門に改組。技術部門は、デジタル政策や人工知能(AI)といった先端技術の導入などを担当する。

 警察庁が直接捜査するサイバー隊は関東管区警察局に設置。政府機関などを狙う重大なサイバー攻撃や、全国的に被害が出る大規模なサイバー犯罪に限って捜査する。部隊の名称は当初の案の「サイバー直轄隊」から変更された。約200人で構成する計画で、その中核となる要員として警察庁職員72人の増員を概算要求に盛り込んだ。サイバー隊発足に関する費用は約7億7千万円という。サイバー攻撃などの状況を再現し、解析の演習や訓練をする仕組みについても機能の向上を図る。

 サイバー事案に対応するための予算額は合わせて約50億5千万円で、2021年度当初予算の約2・2倍に上る。