Nikkei Views 2021年6月28日 

【ロンドン=中島裕介】英シンクタンク、国際戦略研究所(IISS)は28日、サイバー攻撃に関する技術で米国が向こう10年間は中国やロシアより優位に立つとする報告書を発表した。将来、中国が米国を抜くかどうかは、西側諸国による通信技術面での中国の切り離しや、それに対抗する中国の技術開発力が左右するとしている。政府、民間を問わずサイバー攻撃の脅威は増している

報 告書では日米欧の主要国に加えて東南アジアなど15カ国のデジタル安全保障の整備状況や技術力を分析した。15カ国を優秀な順に3つのグループに分けた。

トップグループは米国のみで「民間、軍事の両面でサイバー空間を使用する偉大な実績のある唯一の国」と評価した。ただ足元では「中国やロシアの深刻な脅威にさらされている」とも評した。

2番手グループは中国やロシア、イスラエル、フランス、英国など7カ国が入った。このうち中国がトップグループに最も近い国と分析した。「2000年代以降、知的財産の取得や政治的影響力の確保などを目的に大規模なサイバー攻撃が実施されてきた」と指摘した。

日本はインドやイランなどとともに第3グループにとどまった。日本について「サイバー空間での防御は特に強力ではなく、企業もそのコスト負担を望んでいない」と説明した。中国や北朝鮮からの脅威が高まっていることから「20年までに米国などに促され、強固なサイバー対策に移行している」とも分析した。

西側諸国は情報抜き取りへの備えなど安全保障の観点から、一部分野で中国との通信技術の分離を進めている。高速通信規格5G分野からの中国通信機器大手、華為技術(ファーウェイ)の排除などが典型例だ。報告書はこれが中国の技術開発を遅らせ、サイバー分野での米国への追随を妨げる要素になり得るとの見方も示した。