日経新聞 2020/10 /21 

  サイバー攻撃の手法は日進月歩で高度化している。 政府はサイバー攻撃の分析と防衛を担う産学官の合同機関を立ち上げる。複雑さを増す攻撃手口の情報を集中させ、攻撃元を特定して対処する。2022年度から日立製作所やNECなど20超の組織が集結して研究を始める。日本は海外製品で対応する例が多く、大きく出遅れている。技術の空白は安全保障上、甚大なリスクなため産学官で人材や産業を育てる。

政府はサイバー攻撃の分析と防衛を担う産学官の合同機関を立ち上げる。

 複雑さを増す攻撃手口の情報を集中させ、攻撃元を特定して対処する。2022年度から日立製作所やNECなど20超の組織が集結して研究を始める。日本は海外製品で対応する例が多く、大きく出遅れている。技術の空白は安全保障上、甚大なリスクなため産学官で人材や産業を育てる。

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国立研究開発法人・情報通信研究機構(NICT)がサイバー攻撃を分析するシステムを開発する。政府は21年度予算に20億円を計上する予定だ。その後に産学官の合同機関を設置し、同システムを使って攻撃手法の解析を始める。

サイバー攻撃の手法は日進月歩で高度化している。かつては大量のデータを送りつけて通信機能を停止させる技術が主流だったが、最近では不正アクセスやマルウエア(悪意あるプログラム)を侵入させて情報を抜き取る手口などもある。

攻撃を受けた企業などから合同機関が報告を受けると、偽のネットワークをつくってそこに攻撃を誘導する。相手は攻撃目標と誤認して様々な手法で攻める。合同機関は分析システムですべての手口を記録・解析し続け、攻撃元の特定や対処法の検討につなげる。

 日本サイバーセキュリティ・イノベーション委員会の上杉謙二氏は「サイバー防衛は攻撃手法やマルウエアの情報把握が必要だ。日本は情報共有をためらう企業が多い」と話す。合同機関に全国の攻撃手口の情報を集中させ、産学官で協力して対処法を研究する。

 参加する企業や大学は共有した情報をもとに製品やサービスを開発できる。総務省によると日立、NEC、富士通、三菱電機、横河電機、NTTグループ、早大、神戸大などが参加を調整中だという。

 政府のサイバー攻撃対策の司令塔である内閣サイバーセキュリティセンター(NISC)もデータを提供する見通しだ。他の日本の企業や大学・研究機関も審査を経て参加できる。分析や対処法は教材にまとめ、人材育成に活用する。

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 ロシアは14年のクリミア侵攻から並行してウクライナにサイバー攻撃を仕掛けてきた。15年末に電力網への攻撃で大停電を起こし、17年には空港、電力、金融機関を機能停止させた。サイバー攻撃は武力を用いる戦争より低コストで社会・経済に大打撃を与える。

中国や北朝鮮もサイバー部隊を増強している。原子力発電所などが攻撃で停止すれば重大な事故につながりかねない。

米ハーバード大ケネディスクールがまとめた20年のサイバー能力の世界ランキングは米国、中国、英国がトップ3で日本は9位だ。監視能力は20位にとどまる。

NRIセキュアテクノロジーズが1794社にサイバー対策担当について尋ねたところ「不足している」との答えが9割に上った。MS&ADインターリスク総研の土井剛氏は「日本はセキュリティー専門の採用が乏しく、技術者に高額を出す企業がない」と話す。

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