2018/10/22付 日本経済新聞 朝刊
防衛省は高度化するサイバー攻撃に対処するため、民間企業の人材を活用する。高度な技術や知識を持つ専門家の任期付き採用を検討。2019年度から自衛隊の「サイバー防衛隊」の一部業務を外部委託する。攻撃の手口が巧妙になり、自衛隊内部の育成だけでは限界がある。民間人材を生かし対応能力を高める。
「特定任期付隊員」と呼ばれる枠を使い、民間から専門家を採用する案が有力だ。防衛省のサイバー防衛体制や政策立案に関する助言を求める。
5年以内の任期で、年収2000万円超の事務次官級の待遇でも採用できるようにする。サイバー攻撃からの防御に携わるIT(情報技術)技術者「ホワイトハッカー」は最先端の技術に精通している場合、年収が数千万円に上るという。
サイバー防衛隊の業務の一部、マルウエア(悪意のあるプログラム)の監視・分析などは民間に委託。5~10人のチームを防衛省に常駐させることを検討している。
サイバー防衛隊は18年度末までに150人規模になる予定。19年度末までに5割増やし220人に増やしたい考え。関連経費を同年度予算の概算要求に計上している。
日本は人材育成で各国に後れを取っている。米国のサイバー攻撃に対応する部隊は約6000人とされる。北朝鮮のサイバー部隊は約7000人、中国は10万人規模との見方がある。
サイバー分野は陸海空に次ぐ新たな「戦場」と位置づけられ、安全保障上の重要性が高まっている。サイバー攻撃によって電力や鉄道などのインフラがまひすれば大きな混乱が生じるからだ。
17年6月にはウクライナを中心に身代金要求型ウイルス(ランサムウエア)による激しいサイバー攻撃を受け、クレジットカード決済や地下鉄の支払いシステムなどが停止した例がある。
政府はおおむね10年間の日本の防衛力のあり方を定める防衛大綱を年末に見直すなかで、サイバー防衛の能力強化を打ち出す方針。防衛省はエストニアにある北大西洋条約機構(NATO)のサイバー防衛拠点が実施する世界最大規模の演習「ロックト・シールズ」への参加も調整している。
